2026年4月から、病院や介護施設の給食を請け負う企業では、外国人の新規受け入れが止まったままになっている。外食分野の受け入れ上限に達したためだ。そうした企業にとって、10月13日の日本経済新聞の報道は見逃せない。政府が特定技能の受け入れ分野の区分を見直す案を調整しているという。2027年以降の採用計画に直結する内容を整理する。
※本記事は2026年10月13日時点の報道に基づくものです。案は政府内で調整中の段階であり、正式に決定されたものではありません。内容が変更される可能性があります。
何が、どこへ移るのか
分野 | 報道されている案 |
|---|---|
給食業(医療・福祉施設) | 外食分野から飲食料品製造分野へ移管 |
介護 | 育成就労の枠から2万人分を特定技能へ付け替え |
飲食料品製造 | 上限(13万3,500人)は据え置き |
全体の受け入れ上限を増やすのではなく、分野や制度の間で枠を移し替える。10月中旬の有識者会議で議論し、年内の閣議決定を目指すとされる。

なぜ今、この見直しなのか:外食は上限の98.6%で停止中
外食分野の上限5万人に対し、在留者は約4万9,000人。98.6%に達し、2026年4月13日から新規の在留資格認定が止まっている(出入国在留管理庁)。外食で働く外国人のうち給食業は数千人以上とみられ、病院・介護施設の給食現場では「人が足りないのに採用できない」状態が半年以上続いている。
一方、特定技能全体では2026年7月末時点で43万2,016人(1号)が在留し、上限80万5,700人の53.6%にあたる。1年間で約8万9,000人増えた。分野によって温度差が激しいのが現状だ。
給食事業者:移管が実現すれば道は開けるが、枠に限りあり
給食業が飲食料品製造分野へ移れば、止まっていた新規受け入れが再開に向かう。実現すれば2027年4月にも在留資格認定が再開される可能性がある。
ただし注意点がある。移る先の飲食料品製造分野の上限13万3,500人は据え置きの方針だ。給食業の分が加われば、枠の消化は早まる。ある弁護士の試算では、この分野の枠が埋まるのは2028年8月とみられている。再開されても「いつまで受け入れられるか」は余裕を見ておく必要がある。
介護事業者:特定技能は広がるが、育成就労の枠は縮む
介護分野の上限12万6,900人に対し、2026年7月時点の在留者は8万1,000人(64.2%)。このペースでは2027年度後半に停止される想定だった。育成就労の介護枠から2万人分を特定技能へ付け替えれば、上限は15%ほど広がり、停止の時期は先に延びる。
しかし裏側もある。育成就労の介護の枠は6割ほど減ると報じられている。これまで技能実習で人材を確保してきた事業者は、育成就労に切り替えた後に同じ人数を受け入れられるとは限らない。特定技能での採用と育成就労での受け入れ、両にらみの計画が必要になる。
食品製造の企業:枠を分け合う前提で計画を
給食業の分だけ、同じ13万3,500人の枠を分け合うことになる。2027年度以降に特定技能での採用を増やす予定がある企業は、停止の時期が早まるおそれを計画に入れておいたほうが安全だ。採用の前倒しや、対象業務の見直しを検討したい。
スケジュール:年内の閣議決定を目指す

- 2026年10月中旬:有識者会議で案を議論
- 2026年内:閣議決定を目指す
- 2027年4月:実現すれば給食業の新規認定が再開される可能性/育成就労制度の開始にあわせて介護の枠付け替え
正式決定は年内を目指すも、企業の準備は待ったなし
正式決定を待ってから動き出すのでは遅い可能性がある。特に飲食料品製造分野での採用を計画する企業は、枠の消化が早まるとの試算があることを踏まえ、前倒しでの検討が求められる。
自社が「枠の付け替えで助かる側」なのか、「枠を分け合う側」なのか。まずはその見極めから始めたい。
協同組合シナジーへのご相談
※本記事は、福島県の協同組合シナジーが外国人材の受け入れに関する最新情報をもとに作成しています。